精密工学会東海支部 支部長
柴田 隆行(豊橋技術科学大学)
_この度、精密工学会東海支部の令和3年度(第69期)支部長を努めさせていただくことになりました、豊橋技術科学大学の柴田でございます。昨年度(第68期)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、東海支部におきましても活動の自粛や縮小を余儀なくされました。その中でも、村木俊之前支部長(ヤマザキマザック(株))のもと、感染拡大防止に十分配慮した中での企業見学会や、新たな試みとして「ものづくり実践講座」のリモート開催などを行うことができました。ご関係いただいた皆様方に、改めてお礼申し上げます。
_さて、今期(第69期)のスタートとなった支部総会も、残念ながら皆様方と直接語らう機会を得られずに、オンライン開催となりました。しかしながら、名古屋大学工学研究科様と共催をさせていただきました記念講演会ならびに見学会はたいへん充実したものとなりました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。この1年を振り返ると、コロナ禍での新たな生活様式を受け入れる中で、テクノロジーの発展が、人々の健康や暮らしの安全・安心を支え、様々な制約条件の中でも、心豊かな生活を先導する「ことづくり」を担っていることを、改めて実感することにもつながったように思います。また、これまでの「日常」が「非日常」となり、「ものづくり」の目指すべき新たな道筋にも気づかされる1年だったようにも感じています。私見ではございますが、「ものづくり」を先導する精密工学会の基本理念は、「技術で人を幸せにする」ことに尽きるように思います。このためには、産学官の「知の交流の場」としての学会の役割は極めて重要であり、今後とも、東海支部の運営・活動に対しまして、一層のご理解とご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。ワクチン接種が始まったとはいえ、予断を許さぬ日々が続いておりますが、支部長としての任期内には、皆様方との対面での交流の場が設けられることを、切に願っております。
_精密工学会は昭和8年に精機協会として設立され、昭和22年に精機学会、昭和61年に精密工学会と改称し、現在では「ものづくり」に関わる精密加工・精密計測、設計・生産システム、メカトロニクス・精密機器、材料・表面プロセス、人・環境工学、バイオエンジニアリング、マイクロ/ナノテクノロジー分野などを広範囲に探究しています。東海支部は、昭和28年に全国で4番目の支部として発足し、現在では関西支部に次ぐ2番目に会員数の多い支部となっております。ここ東海地区は日本の「ものづくり」の中心地であり、自動車、航空・宇宙産業をはじめ、工作機械、金属・セラミックス材料、機械要素など有力な産業が発展しており、33社の賛助会員をはじめとして産官学から多くの方々に参加をいただいております。
_東海支部の主な活動としては、2004年から毎年開催の「ものづくり実践講座」があります。本実践講座は精密な「ものづくり」に関わる第一線の講師陣による基礎的な講義と、実際の装置に触れる・実験装置を造る、プロセスを見る、解析を行うなどの実践教育を組み合わせることで、基礎理論から実践的応用までを体験的に学習できる講座です。若手技術者には人気があり、毎年多くの企業の若手エンジニアに受講いただいていております。今年も8講座ほどの企画を予定しております。また、2014年度に設立した「東海支部学生優秀賞」では、東海地区の大学・工業高等専門学校から推薦された、精密工学分野の成績優秀かつ人格の優れた学生さんに対して、毎年1~2名(各教育機関当たり)の顕彰を行っています。受賞した優秀な学生さんには、研究へのモチベーションの向上と実際の先端/最新技術に触れる機会を増やすため、企業への特別会社見学会の招待を実施しておりますので、積極的に参加していただきますようお願い申し上げます。また、産業界の皆さまにおかれましては、学生さんの受入れにご理解とご協力をよろしくお願いいたします。そのほかにも、企業見学会や講演会、他学会との共催の講演会なども開催しておりますので、積極的なご参加をよろしくお願いいたします。
_最後になりますが、東海支部は来期で創立70周年を迎えます。今期(第69期)の支部長としての重要な役割の一つとして、70周年記念事業の企画・立案と、その準備を行い、次期の支部長に遺漏なくバトンをお渡しすることが、与えられた使命であると思っております。記念式典、周年記念誌の刊行、支部ホームページの充実などを今期の支部活動の中で検討してまいりたいと思っております。皆様方のお力添えをいただきながら、この重要な責務を全うできるよう努めてまいりたいと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。東海支部としましては、これからも産官学の出会いの場を設けて、東海地区の精密工学の発展ならびに産業への貢献を目指して活動をしてまいりますので、ご理解と積極的なご参加をお願い申し上げます。